第5章宴会に出る前に生年月日を叩きこまれる
取り乱す暇すらなかった。三嶋が私をこの島に売った。売った?「あ、あの彼は?」もう1人で帰ったって
わけもわからず女将の前でへたり込んでいると、部屋にドカドカと着物姿のおばちゃん連中が入ってきた。いや、おばあちゃんといったほうがいいかもしれない。60は優に超えている。バアさんたちは口々に問いかけてきた。「アンタはいくらなん?」女将さんが答える。「このコはまだまだ使えるから200万や」「ほう、そうか。やっぱり若いコはそ、れぐらいか」私は黙ってそのやり取りを聞いていた。何が200万なのか、薄々気づいてはいたけれど、聞き出すのは怖かった。ぼんやりする間もなく、女将さんが着物を手渡してくる。「今日から宴会いくよ」「はあ…」「あんた17やったね。何年生まれ?」
「〇〇ねんです」「聞かれたら19才って言いなさいよ。わかった?」「はい…」「あなた誕生日は?」「え、〇〇年です…」「そう。あとショート2万、ロング4万。ロングは泊まりで朝の7時まで。お客さんに値段きかれたらそう言いなさい」ショートにロング。薄々気づいていたことは、現実のものとなった。私はここで男に買われるのだ。「半分あなたのものだから。全部返済に回したかったらそうしてもいいし、貸して欲しかったらそれでもいいし。あ、それから名前はどうしよ。
メグミにでもしとくか」200万で売られた私はここで体を売って200万稼がないといけないらしい。他のバアさんたちはみんな100万で売られたんだそうだ。少しプライドが傷ついた。私はバアさんと100万の差しかないのか。