seikox’s diary

掲示板 http://9205.teacup.com/seiko/bbs 島に売られ泳いで逃げてきた女の復讐戦。人権問題、性被害に関心ある方、参戦ください

第9章借金を計算した紙がいつのまにかなくなっている

こうして寝るヒマを惜しんで稼ぐ私も、昼間は何もすることがなかった。有紀さんのように自発的に働きに来ているコは、借金がないから自由に島の外に出れるけど、私はここにいるしかない。しょうがなく部屋で寝ているか、本棚にあった「ハロウィン」という恐怖マンガを読んで時間をつぶす毎日。テレビは、幸せそうな奴らが出てくるとムカツクからいっさい見なかった。ときどき散歩にも出るけど、やっぱり島内には何もなく、立ちんぼのように立っているおっさんやおばさんがなれなれしく話しかけてくるぐらい。

暇を持て余したヨソ者は1人だけじゃなく、私の後にも、ダマされて売られた「外出不許可」のコが何人かやってきた。7月の終わりぐらいに新しくやってきた女のコは、私と同じ手口でホストに連れてこられたのに、

「私はダマされてない。すぐ迎えに来てくれる」と、ずっと泣いていた。泣いたってしょうがないのに。この島で泣いたって誰も助けてはくれないのに。いつになれば島の外に出られるのか。最初の200万円に着物やバッグの借金が加わればいくらになり、そしてそれは1日に何人の客を取れば追いつく額なのか。私は紙に書いて計算していた。ズルズルと居続けるより、目標を持って働いた方がいいと思ったからだ。しかし何度計算しても、紙はいつの間にかなくなってしまう。ミステリー。じゃなくて誰かが見つけて捨ててしまっているのだ。いつまでも居させようというハラなんだろうか。ミステリーと言えば、旅館の中には1つの謎があった。宴会部屋、雑魚寝部屋、食堂、客室以外に、入ってはいけない部屋というのがあったのだ。女将さんがサイコロを持ってうろうろしているのを見たことがあったから、たぶん博打をしていたんだと思うけど、ついにその正体はわからなかった。